ペテンに遭ったような気がした映画界との訣別!!
ノーベル書房・ノーベルプロ時代 (その4)
大阪ロケを終わって東京に戻った頃から、「極道ペテン師」の撮影続行が難しくなってきた。資金が続かなくなってきたのだ。そして・・・撮影は一旦中止となったのである。役者さんたちの拘束期間も切れてしまった。
スタッフのギャラも未払いがある。私ももう数ヶ月無収入の有様だった。僅かな貯金も忽ち底を尽いてくる。プロデューサーも大変だろうが、こっちも泣きたい毎日だ。
私は遂に意を決してプロデューサーの友田氏に会い、私にも金をまわせと談判した。妻と子供二人を抱えてやっていけないことは眼に見えている。当座の資金と云って、いくらかでもくれたなら我慢していただろう。だが、答えは違っていた。
「金はないんだ。どうしてやりようもない・・・・・」という冷たいことばだ。
「このままじゃ、子供たちが日干しになります。今日限りで辞めます!」
私は叫ぶように云って、家に戻ると妻の嘉子に事情を話し、「東京を引き上げることにした」、といった。さすがに妻はびっくりしたようだった。
「どうするの? これから・・・」
「大阪に帰ってから考える」
寝ている子供たちの無邪気な顔をみながら、そう答えることしか私には出来なかった。
こうして長年住み慣れた東京を離れ、大阪・堺にある親元へ帰ることになったのだ。日活も以前のような黄金時代はうそのようにかげりが見え始めていた。それにしてもこんな形で映画界と別れることになろうとは、人生ってやつは先の見えない曲がり道だな、そう思った。
東京を次第に離れ、新幹線の車窓から見た富士山に私は別れを告げた。いつかまた東京へくることがあるだろうか。もう二度と東京に住むことは無いだろう、私は夕焼けに染まる富士山を見ながら、そう思うのだった。
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